高分子化學
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アクリロニトリルの液相直接合成に関する研究Nieuwland触媒中における青酸の挙動について
増井 賢佐倉井 栄二郎小林 樹
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1961 年 18 巻 196 号 p. 487-491

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抄録

CuClとNaClとから成るNieuwland触媒に, アセチレンと青酸を連続送入し, 生成せるアクリロニトリル (AN), 逃散した青酸および触媒中に残留した窒素化合物を測って, 触媒に加えた青酸量と一致するのを見出した。またNieuwland触媒を用いて, AN合成を行なうとき初めに青酸のきわめて低い転化率を示す条件で合成したのち, 同触媒にアセチレンのみを通すと, 引続き長時間にわたって, 多量のANの生成のあることを見出した。またNieuwland触媒にあらかじめ一定の液化青酸を加え, よくふりまぜたのち, 反応温度90℃ でアセチレンを通すとき, 初めに青酸の逃散のみ起るが, 一定の誘導期後にANの生成が一定の速度で起り, 触媒中の青酸濃度の減少とともに, ANの生成速度が減少し、減少するANに代って, それだけアセチレン重合体の生成速度が増加した。また青酸を触媒に加える代わりに, これと同モルのCuCNおよびHClをCuClと入れ替えた場合でも同じ結果が得られた。以上のことから青酸は, 触媒中にCuCNおよびHClの状態で安定に存在するものと推論した。

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