高分子化學
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γ線照射によるグラフト共重合
第5報空気中前照射法によるポリエチレンーメタクリル酸共重合
松田 竜夫酒井 義郎山北 尋己
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1962 年 19 巻 205 号 p. 313-317

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抄録

空気中前照射によるポリエチレンフィルムへのメタクリル酸のγ 線グラフト共重合について検討した。低圧法ポリエチレンでのグラフト反応は捕捉ラジカルとパーオキサイドから起こり, 照射ポリマーを空気中25℃ で長時間保存すると, 捕捉ラジカルが消滅してパーオキサイドに由来する反応だけになる。また空気中100℃ で熱処理すると, 捕捉ラジカルに続いてハイドロパーオキサイドの消滅することが推定された。照射直後のグラフト (捕捉ラジカルとパーオキサイドによる反応) は照射線量と直線関係はないが, 放置後のグラフト (パーオキサイドによる反応) は照射線量とほぼ比例関係にあった。照射直後のグラフト量は照射温度の低いほど多い。放置後のグラフト量は照射温度に依存しなくて, -78-0℃ における前者のグラフト量は後者の4-5倍に達するが, 約40℃ 以上のときは両者の差はほとんどない。放置後のグラフト反応速度は重合温度の高いほど早く, 見かけの活性化エネルギーは22kcal/mo1であった。低圧法と高圧法ポリエチレンについて, 照射後空気中保存によるゲラフト量の減衰の比較から, 高圧法ポリエチレンでは捕捉ラジカルに由来するグラフト反応はほとんど認められなかった。

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