1962 年 19 巻 205 号 p. 318-322
空気中γ線前照射法によるセルロースアセテート繊維に対するスチレンのグラフト共重合について検討した。照射ポリマーを空気中で-78.5-80℃, 0-360時間放置してもグラフト量の変化はなく, また照射温度を-78.5-110℃ に変えてもグラフト量の変化はわずかで, この系のグラフト反応の基点はパーオキサイドによることを認めた。線量が増すに従ってグラフト量増加の割合は少なくなり, これはパーオキサイドのγ線分解によるものと思われる。重合温度が65℃ 以上ではゲラフト反応は約1時間で終り, 到達するグラフト量は温度が高いほど低い。グラフト繊維を加水分解し主鎖を切断して分枝ポリスチレンの分子量を求め生成分枝数を算出した。重合温度とグラフト量の関係を分枝ボリスチレンの分子量の温度上昇による低下によって説明した。またパーオキサイド分解の活性化エネルギー約25kcal/molを得た。