抄録
別報(1)においてAI Et3-Ti Cl4系触媒による-78℃ でのα-メチルスチレンの重合を試み, 触媒つ熟成条件と得られたポリマーの極限粘度数[η]との関係から, 主として中間錯合体(Ti Cl3)+(AI Et3 Cl)-(a), およびAIEt2Cl(b)の2種の活性種が存在し, その割合が熟成の進行とともに変化することを推論した. この推論を確かめるために生成ポリマーの分子量分布をカラム溶出法で求めた. 溶剤としてペンゼン, 非溶剤としてn-ヘキサンを使用した.その結果-78℃ で熟成した触媒を用いた場合は分子量5×104付近にピークを有し, 量60×104程度まで分布した曲線が得られた.それに対し0℃ で熟成した触媒を用いた場合は, 分布範囲は原試料の[η]によらず(熟成条件によらず), 活性種(b)として考えたAIEt2Cl単独触媒で得られたものひそれと同様, いずれも分子量2×106付近におよび, また曲線の形は熟成時間とともに変化し, 熟成時間が5分から40分と長くなるにつれて, -78℃ 熟成の場合と同様分子量5×104付近にピークを有する低分子量側の分率が低下し, 高分子量側の分率が増加し, 40分熟成においては5×105付近に新しい山が認められた, 低分子量側の分率が活性種(a)により高分子量側の分率が活性種(b)によって得られたと考えると, これらの結果は別報(1)での推論の正しいことを示している.