高分子化學
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20 巻, 219 号
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  • 奥山 政高, 柳田 具美
    1963 年20 巻219 号 p. 385-390
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    振動リード法 (100-200c/s), 両端固定ねじれ振動法 (05-1.7cfs) および, 一端固定ねじれ振動法 (05-5.8×10-1c/s) により-150-+50℃ にわたってポリ塩化ビニル (PVC) 樹脂類の動的粘弾性を測定した.試料はアジピン酸ジオクチルーエステル (DOA) およびリン酸トリクレジル (TCP) で可塑化したもの, および塩化ビニルと酢酸ビニル (VAc) との共重合体 (PVC-VAc), およびPVCとPVAcとのポリブレンド体 (PVC-PVAc) である.結論は次のとおりである.
    1) PVCの5転移は末端基の運動によるのではない.また高分子鎖間の広域にわたる摩擦によるのでもない.
    2) 可塑化PVCの耐寒性は (低温における可とう性) はα 吸収の位置 (温度) と形とに帰すべきであって, β 吸収とは関係がない.
    3) 可塑剤混入と共重合とでは可塑化の機構を異にする.温度分散図において可塑剤の効果はαのすそを低温側へずらすにすぎない.共重合の分は30℃ に新しいピークを出現させる.この出現はVAc群のみのミクロプラウン運動を表わし, 結局鎖状分子を柔軟にする.
  • 第1報脱脂粉乳層の水蒸気透過
    牧野 輝男, 種谷 真一
    1963 年20 巻219 号 p. 391-394
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    脱脂粉乳層の水蒸気拡散, 透過について実験した.30℃, 97%RHでSorption rateから求めた拡散係数Dの値はTime lagから求めたPd*よりもかなり小さい.このことは吸湿初期においては拡散の律速段階Capillary flowが粒子内拡散に先行し, その後粒子内拡散が定常になってからは主としてCapillary flowとなる.また高湿蒸気の粉体層透過にさいしては層が厚くなると透過量が著しく減少し, 低湿ではあまり変化しない.
  • 井上 正男, 山田 久男, 深見 徳繁, 高木 幹夫
    1963 年20 巻219 号 p. 395-402
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    一般用ポリスチレンについてスクリュー予備可塑化装置付射出成形機と, スパイラル金型を用いて成形条件のスパイラル成形品の長さ, および成形収縮率に及ぼす影響を調べた.i) スパイラル流れは主として樹脂温度Tr (℃), 射出圧力P (kg/cm2) の影響を受け, 金型温度Tm (℃), 射出速度V (cm3/sec) の影響は小さい.スパイラル流入長X (cm) を成形条件を変数として表わせば次のごとく求められる. X=-21.4+0.00077 (Tr-125)(P+240) +0.058 Tm +0.14 V ii) スパイラル成形品の流れ方向の収縮率はゲート側で最小, 先端部で最大となり, その増勢はゲート側で急で先端に近づくほどゆるやかになる.iii) 収縮率に及ぼす成形条件の影響は次のごとくである.樹脂温度と金型温度はいずれも高温になるほど収縮率はスパイラル全長にわたって小さくなり, その影響の仕方は両者よく似ているが度合は後者の方が大きい.射出圧力は高いほど収縮率は小さくなり, その効果はゲート側で著しく先端部では小きい.射出速度の影響はほとんど認められない.
  • 第4報金属アルコキシド触媒によるエチレンオキシドの重合
    石井 義郎, 山下 雄也, 鷲見 茂
    1963 年20 巻219 号 p. 403-407
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    エチレンナキシドの重合触媒としてAl (OBut) 3がすぐれているが, これを部分加水分解すると重合速度が著しく増加する.Al/(OPri) 3, Al (OBu') について加水分解度, 触媒量と重合速度, 重合度との関係を検討し, モノマーの吸着を律速段階とする配位重合形式を推定した.また単独では重合活性のないTi (OPri) 4も部分加水分解するど活性になり, これにAl Et3を加えることにより重合速度が増加する.
  • 川上 博, 森 昇, 鷲見 正雄
    1963 年20 巻219 号 p. 408-412
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    トリーかブチルホウ素触媒による酢酸ビニルの塊状重合を10℃ で行ない, 初期重合速度は触媒濃度の1乗に比例することを認めた。これから停止反応は1分子停止反応と考えられる。また10℃ におけるトリ-n-ブチルホウ素触媒への連鎖移動定数は0.9であった。-30℃~+30℃ で測定した見かけの重合活性化エネルギーは6.0~65kcal/molであった。なお重合度は重合温度30℃ で極大になった。
  • 第1報α-アミロースの単結晶
    平井 西夫, 安井 武四, 藤田 三郎, 山下 祐彦
    1963 年20 巻219 号 p. 413-416
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    とうもろこしデンプンの70℃ 温水抽出液にブタノールを加えKerrのα-アミロース結晶をつくった。この結晶について電子顕微鏡および小角, 広角X線で研究を行なった結果, 天然の線状高分子であるアミロースもポリエチレンなどの合成高分子と同様厚さ100A程度の板状の単結晶を形成し, 単結晶の板面にアミロースのらせん分子鎖が垂直に入り, 折りたたまれることを確認した。
  • 第2報分子量分布と重合機構の関係
    桜田 洋, 上田 実
    1963 年20 巻219 号 p. 417-422
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    別報(1)においてAI Et3-Ti Cl4系触媒による-78℃ でのα-メチルスチレンの重合を試み, 触媒つ熟成条件と得られたポリマーの極限粘度数[η]との関係から, 主として中間錯合体(Ti Cl3)+(AI Et3 Cl)-(a), およびAIEt2Cl(b)の2種の活性種が存在し, その割合が熟成の進行とともに変化することを推論した. この推論を確かめるために生成ポリマーの分子量分布をカラム溶出法で求めた. 溶剤としてペンゼン, 非溶剤としてn-ヘキサンを使用した.その結果-78℃ で熟成した触媒を用いた場合は分子量5×104付近にピークを有し, 量60×104程度まで分布した曲線が得られた.それに対し0℃ で熟成した触媒を用いた場合は, 分布範囲は原試料の[η]によらず(熟成条件によらず), 活性種(b)として考えたAIEt2Cl単独触媒で得られたものひそれと同様, いずれも分子量2×106付近におよび, また曲線の形は熟成時間とともに変化し, 熟成時間が5分から40分と長くなるにつれて, -78℃ 熟成の場合と同様分子量5×104付近にピークを有する低分子量側の分率が低下し, 高分子量側の分率が増加し, 40分熟成においては5×105付近に新しい山が認められた, 低分子量側の分率が活性種(a)により高分子量側の分率が活性種(b)によって得られたと考えると, これらの結果は別報(1)での推論の正しいことを示している.
  • 各種アルキルアルミニウムと四塩化チタン触媒系によるα-メチルスチレンの重合
    桜田 洋, 今井 清和, 松本 昌一
    1963 年20 巻219 号 p. 422-429
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    種々炭素数の異なるアルキルアルミニウムAIR3や, 塩素による置換度の異なったクロルエチルアルミニウムA1 (C2H5) nCl3-n (n=1, 2) と四塩化チタンを組み合わせた触媒系によりα-メチルスチレンを-78℃で重合させた.アルキルアルミニウムとしてはA1 (CH3) 3, A1 (C2H5) 3, A1 (i-C4H9) 3, A1 (C6H13) 3を用い, クロルエチルアルミニウムとしてはA1 (C2H5) 2C1, A1 (C2H5) C12を用いた.AIR3やAIEtn C13-nの種類によって触媒活性や得られたポリマーの重合度は非常に変化する.また, いずれの触媒系の場合も触媒の熟成条件が触媒活性や生成ポリマーの重合度に影響を与える.0℃, 10分および-78℃, 10分の熟成条件で, 高い重合度のポリマーを与える触媒の順序はA1Me3≥AIEt3>AIEt2Cl>AIEt Cl2>A1 (Hex) 3>Al (i-Bu) 3 (0℃, 10分), AIMe3>AIEt2 CI>AIEt C12>A1 (Hex) 3>AIEt3>A1 (i-Bu) 3 (-78℃, 10分) であり, 0℃, 10分の条件で, 触媒の種類によって (他の条件は一定) 生成ポリマーの重合度は500から3300まで, また-78℃, 10分の条件で800から5000まで変化する.この変化は, 触媒の種類, 熟成条件の違いによって活性種が変化し, 各活性種から得られる対アニオンの影響と考えられる.また, 各触媒系の場合につき熟成期間中におけるAIR3やAIEtn Cl3-nとTi Cl4の反応の進行度との関連から活性種について推論を加えた.
  • 第4報各種の触媒系により得られたポリーα-メチルスチレンの諸性質
    桜田 洋, 今井 清和, 松本 昌一
    1963 年20 巻219 号 p. 429-435
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    チグラー型触媒BF3・O (C2H5) 2やTiCl4のようなカチオン触媒, 金属KやNaのようなマニオン触媒なと各種の触媒系により得られたポリ-α-メチルスチレンの諸性質を測定し, 立体規則性に注目して比較した。いずれの触媒系により得られたポリマーも結晶化は困難であり, 測定は無定形の状態で行なわれた。ガラス転移温度, 赤外吸収スペクトルに立体規則性によると考えられる差を見出した。膨張計により測定したガラス転移温度について, たとえば重合度いずれも3000のポリマーでAI (C2H3) 3-TiCl4触媒により得られたものは117℃, K触媒により得られたものは107℃ と約10℃ の差が認められた。赤外吸収スヘクトルには重合条件によって大きな差は認められなかったが, 885cm-1にタクチシティを反映すると考えられる吸収が存在することを知った。比重はポリマーの重合条件によらず1.0610士0.0005でガラス転移温度以上で熱処理すると, 1.0630±0.0005と変化した。メチルエチルケトンに対する溶解性には重合条件による差が認められたが, 立体規則性との関係は明りょうでない。ガラス転移温風赤外吸収スペクトルに認められた差をもとにして立体規則性のポリマーを与える触媒の順序を示すとAIEt4-TiCl4>BF3・OEt2≧TiCl4>K=Naである。この立体規則性の順序はアイソタクチシティのそれと推論した。
  • 第5報ポリ-α-メチルスチレンのX線図
    桜田 洋, 望月 隆仁, 松本 昌一
    1963 年20 巻219 号 p. 436-442
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    種々の触媒を用いて重合したポリーα-メチルスチレンのX線散乱強度曲線を測定した。ポリ-α-メチルスチレンの粉末X線図は, 重合触媒のいかんにかかわらず本質的に無定形で, 10°(2θ) 付近と16°付近に極大点を持つ二つのhaloが認められ, 面間隔はそれぞれ9.1Åおよび5.4Åと計算される。二つのhaloの強度比は重合条件によって著しく異なり, タクチシティ (tacticity) が高いほど, inner ringのouterringに対する相対強度が大となり, inner ringの位置 (2のは低くなることを認め), 無定形のX線図にもタクチシティの影響の反映されることを見出した。二つのハローの強度比をもとにして, 各種の触媒系で得られたポリマーのタクチシティの順序を求めると次のごとくである。
    AlEt3-TiCl4=BF3・OEt2>TiCl4>Na>K
    またこの強度比は, ポリマーをガラス転移温度以上で熱処理したり, n-ヘプタンやメチルエチルケトンなどの溶剤で処理することにより増加する。
  • 第1報メチロールベンゾグアナミンについて
    大野 博茂
    1963 年20 巻219 号 p. 443-449
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ベンゾグアナミン1モルに対し, ホルムアルテヒドを種々のモル比になるように加え, 微アルカリ性で反応させた, そのときの溶解状態を観察し, さらに生成したメチロールペンゾグアナミンの結晶について分析した。また, ベンゾグアナミンのメチロール化反応の機構につき検討し, ホルムアルデヒドに対する官能性3.5, 活性化エネルギー18.3kcal/mol, 反応熱3.8kcal/molを得た。次にメチロールベンゾグアナミンのアルキル化反応についてペーパークロマトグラフで追跡し, 酸性触媒で容易にアルキル化されることを確認した。
  • 第3報ナイロン6の球晶とその変形に関する光学的研究
    相原 忠義, 吉崎 修, 長井 栄一
    1963 年20 巻219 号 p. 450-455
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    大口径ノズルを用いて溶融紡糸した未延伸ナイロン6テグスには球晶の発生が見られるが, それらの球晶は半径方向に正の複屈折度を示し, X線測定によりγ 型の結晶構造をもつことが確かめられた。テグスを延伸し種々の方向から観察すると, 球晶はダ円体あるいはシリンダー状に変形されており, 延伸方向に垂直な円形断面においては変形前に比し半径方向により大なる複屈折度を示すことが認められた。この場合分子鎖は長軸方向に配列し, α 型の結晶構造に転移している。結晶構造がそれぞれα 型, γ 型であるナイロン6の配向フィルムについて測定した3軸方向の屈折率の値を用い, 各種ポリマーの球晶に関する一般的な知見に基いて以上の事実を解析した。その結果, 分子鎖が球晶の接線方向にあって水素結合の方向が半径方向と一致しているような構造をもっていた7型結晶構造の球晶は延伸により変形された後も水素結合がシリンゲーの半径方向に保たれていて, すでに報告したγ型結晶構造をもっているフィルムや単結晶における延伸機構と本質的に同じであることが結論される。
  • 桜田 一郎, 坂口 康義, 西野 潤, 岩垣 武久
    1963 年20 巻219 号 p. 456-460
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アクリル酸を塊状またはペンゼンなどの極性の低い溶媒中でラジカル開始剤を用いて比較的高温で重合した。得られたポリアクリル酸の水溶液をNaOH,(n-Eutyl) 4NOHおよびBa (OH) 2によって電圧滴定した。これらの試料は水溶液重合により得られたポリアクリル酸および普通のポリアクリル酸メチルから誘導されたポリアクリル酸に比べてやや高いpK値を示し, よりアイソタクチックな構造を持つと思われる。他方, ラジカル重合により得られたポリメタクリル酸の電圧滴定挙動は重合時の溶媒の種類にほとんど無関係であった。これらの結果に対して若干の考察を行なった。
  • 住江 太郎, 山崎 升, 神原 周
    1963 年20 巻219 号 p. 461-466
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    Al (C2H3) 4 -TiCl4系触媒によるプロピレンとブタジエンの共重合およびAl (C2H3) 4-VCl4系触媒によるエチレンとプロピレンの共重合を行なった。どちらの系においてもプロピレンはコモノマーよりも共重合しにくいが, プロピレンのみの存在下で調製した触媒を用いると, 両モノマー共存下で調製したものを用いるよりもプロピレン含有率の高いコポリマーが得られた。このことからチグラー型触媒の共重合活性は触媒調製時に存在するオレフィンの種類こよって変化すると考えられ, これは触媒生成にオレフィンが関与して生成する触媒の性質や構造などに影響を与えるためと推定される。また, エチレンープロピレンコポリマーには比較的長いポリメチレン基が存在することから, チグラー型触媒によるオレフィンの共重合ではプロックコポリマーを生成する傾向があると考えられる。
  • 住江 太郎
    1963 年20 巻219 号 p. 467-472
    発行日: 1963/07/25
    公開日: 2011/02/18
    ジャーナル フリー
    Al (C2H5) 3-TiCl4系触媒を用いてエチレンとイソプレンの共重合を行ない, 次のことを見出した。前報のごとくチグラー型触媒の性質は調製時に存在するオレフィンの種類によって異なり, 2種のオレフィン共存下で調製した触媒の性質は共重合性の大きい方のオレフィンによって決まるが, エチレンに比べて共重合性の小さいイソフレンがきわめて多量に存在する系内で調製した触媒の性質は, 系内に少量のエチレンが入ってきてもこれには全く影響されない。得られたコポリマーは赤外吸収スペクトルによる分析の結果からブロックコポリマーであり, また, イソフレンの結合様式にはホモポリマーの場合よりも3, 4結合が増加していることがわかった。生成物は2種類のコポリマーに分けられ, その一つはほとんどイソプレンからできているものであり, 他の一つはエチレンもイソプレンも相当含まれているものである。以上のことから次のことが結論される。両モノマー共存下で触媒を調製する際, 両モノマー量がほぼ等しい場合には共重合性の大きいモノマーによって生成する触媒の性質が決まるが, 両者の割合が共重合性の小さいモノマーの方に片寄っている場合には少量存在する共重合性の大きいモノマーには無関係に, 多量に存在するモノマーによって生成する触媒の性質が決まる。ポリマー鎖の生長末端のモノマー単位の種類によって, その次に付加するモノマーの種類や結合様式などが影響を受ける。前報においてチグラー型触媒には2種またはそれ以上の活性点が存在すると考えたが, 本研究の結果からもそれが支持される。
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