抄録
環状ジエンのカチオン重合性を知るため, シクロペンタジエン (CPD) およびシクロヘキサジエン (CHD) のイソブテン (IB) とのカチオン共重合を-78℃で行なった。溶媒としてトルエンと塩化メチレンが用いられ, CPD-IB系ではBF3・O (C2H5)2およびSnCl4・CCl3CO2Hを, CHD-IB系ではSnCl4・CCl3CO2Hを触媒として用いた。環状ジエンがIBと共重合物を生成することが確認された。共重合比から推定されるモノマー反応性の順序は, CPD>CHD=IBであった。これより環状ジエンのカチオン共重合性はイソブテンと同程度か, それより大きいことが明らかになった。また, CPDとIBの共重合では溶媒の誘電率が低下するとCPDの重合性が増大した。この原因がIBとスチレンのカチオン共重合との類似性から議論された。