高分子化學
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23 巻, 251 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 第82報フェノールーホルムアルデヒド樹脂への環状エーテルのグラフト重合
    大津 隆行, 近藤 正興, 青木 修三, 井本 稔
    1966 年23 巻251 号 p. 145-151
    発行日: 1966/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    熱硬化性樹脂であるフェノール-ホルムアルデヒド樹脂に熱可塑性樹脂であるポリエーテルをグラフトさせ, 新しい型の熱硬化性樹脂を合成した。グラフト化の方法は, まず, ノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを反応させるか, または, レゾール樹脂を調製する際にエピクロルヒドリンを共存させてエポキシ化フェノール-ホルムアルデヒド樹脂を調製し, このエポキシ基を共触媒とし, 三フッ化ホウ素-エーテラートを触媒として3, 3-ビス (クロルメチル) オキセタン, またはテトラヒドロフランを開環重合したものである。生成した重合体は単独または硬化剤として, ヘキサメチレンテトラミンの共存下に加熱することにより硬化した。硬化物からの溶媒抽出により, グラフト化が起こっていることが確認された。
  • 第3報シクロペンタジエンおよびシクロヘキサジエンのイソブテンとのカチオン共重合
    今西 幸男, 山根 忠之, 籾山 善次郎, 東村 敏延
    1966 年23 巻251 号 p. 152-157
    発行日: 1966/03/25
    公開日: 2010/12/22
    ジャーナル フリー
    環状ジエンのカチオン重合性を知るため, シクロペンタジエン (CPD) およびシクロヘキサジエン (CHD) のイソブテン (IB) とのカチオン共重合を-78℃で行なった。溶媒としてトルエンと塩化メチレンが用いられ, CPD-IB系ではBF3・O (C2H5)2およびSnCl4・CCl3CO2Hを, CHD-IB系ではSnCl4・CCl3CO2Hを触媒として用いた。環状ジエンがIBと共重合物を生成することが確認された。共重合比から推定されるモノマー反応性の順序は, CPD>CHD=IBであった。これより環状ジエンのカチオン共重合性はイソブテンと同程度か, それより大きいことが明らかになった。また, CPDとIBの共重合では溶媒の誘電率が低下するとCPDの重合性が増大した。この原因がIBとスチレンのカチオン共重合との類似性から議論された。
  • 第3報重合に及ぼすポリペプチドおよび関連物質の影響
    加藤 英雄, 鈴置 一紘, 東村 敏延, 岡村 誠三
    1966 年23 巻251 号 p. 158-164
    発行日: 1966/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    N-ジチオカルボニルエトキシカルボニル-アミノ酸 (DTE-アミノ酸) の重合に及ぼす生成ポリペプチドおよび関連物質の影響を調べるため, DTE-DL-α-アラニンおよびDTE-グリシンの重合について, ポリペプチド, およびアミノ酸の影響を検討した。この結果, ポリペプチドおよびα-アミノ酸の存在はともに重合速度を増大させることがわかった。また, 比較のため重合溶媒に可溶のアミノ酸としてp-アミノ安息香酸および重合溶媒に可溶の酸アミドとしてベンズアミドおよびベンズアニリドの影響を検討したが, p-アミノ安息香酸が重合速度を増大するのに反し, 低分子の酸アミドは重合を促進しなかった。副生成物であるエチルアルコールは重合速度を増加するが, 重合度には大きな影響を与えなかった。さらにモノマー中に混入するおそれのある不純物の影響も検討したが, N-エトキシカルボニル-DL-α-アラニンは重合を抑制することがわかった。
  • 上田 二士, 門永 政雄
    1966 年23 巻251 号 p. 165-171
    発行日: 1966/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    γ線による気相グラフト法によって合成したポリエチレン塩化ビニルグラフトポリマーの力学的性質, ガス透過性, 光学的性質, 誘電特性などを測定し, グラフトによる性質の変化や, ブレンドポリマーの性質との差異を明らかにし, その理由をポリエチレンとポリ塩化ビニルの相互作用の有無, ポリエチレン中のポリ塩化ビニルの分散状態の違い, およびポリエチレンの結晶組織の変化などから説明した。一般に低密度ポリエチレンは塩化ビニルをグラフトすることにより, 機械的強度は増大し, 流動性は著しく低下するが, ブレンドではポリマーの機械的強度は低下し, 流動性の変化は小さい。グラフトによりフィルムのガス透過性は減少し, 耐ストレスクラッキング性は向上する。また, あらかじめ成膜した試料はグラフトしても透明性は変化しないが, グラフト後成膜した試料の透明性は非常にすぐれている。なお, 高密度ポリエチレングラフトポリマーの二三の性質についても明らかにした。
  • 桜田 一郎, 野間 夬之, 大藤 吉雄
    1966 年23 巻251 号 p. 172-176
    発行日: 1966/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    段階重合可能なモノマーの一種として, 3-クロルメチル-3-アリルオキシメチル-オキセタンを合成し, 過酸化ベンゾイル, またはアゾビスイソブチロニトリルを用いて塊状重合を試みた。得られたポリマーの重合度はきわめて低く, また, 多量の開始剤を用いても限界重合率は低いことから, 他のアリルモノマーの場合と同様に, モノマーへの破壊的連鎖移動が顕著であることが推定された。また, 重合の動力学的検討から, 生長ラジカルおよび開始剤ラジカルの生長および開始速度定数と, モノマーへの破壊的連鎖移動速度定数の比kp/ktrおよびki/ktr'を求めると, それぞれ6および0.3となった。ポリマー中に存在するオキセタン環は三フッ化ホウ素エーテラートで容易に開環重合することが, 赤外線吸収スペクトルから確認された。
  • 第1報結晶化速度測定における熱媒体の選択
    石橋 徹, 谷 八紘, 吉崎 修, 長井 栄一
    1966 年23 巻251 号 p. 177-180
    発行日: 1966/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    薄いガラス板にはさんで溶融したナイロン6ポリマーを種々の熱媒体中で等温結晶化させ, 凍結によって結晶化の進行を中断させて後偏光顕微鏡によって観察して, 結晶化の誘導期間τ を求め, さらに結晶化完了後の最大球晶直径dmaxを測定したが, τ, dmaxいずれも熱媒体によって大きく変動することが示され, 等温結晶化についての不変的でよい知見をうるためには, 水銀のような良熱媒体を選定する必要があることを明らかにした。このことは, 伝熱理論を用いて試料の冷却速度を計算した結果とも良く符合することを知った。
  • 第2報擬網目構造の弾性挙動について
    早原 琢朗, 高尾 精二
    1966 年23 巻251 号 p. 181-186
    発行日: 1966/03/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アクリロニトリル共重合体濃厚溶液をPhilippoff, Gaskinsらの提出した毛細管の末端補正法により, 弾性的変形を粘性と分離して測定した。その結果, 次のことが明らかになった。
    1) ずり応力とRecoverable shear strainとは, ほとんど直線関係にあり, Hookeの法則に合い, これより, ずり弾性率を求めうる。
    2) 測定温度の増加, ポリマー濃度の減少により, ずり弾性率は大きく減少, 分子量の減少によっては, わずかにずり弾性率は減少する。
    3) 粘性に影響するからみ合い開始点と, 弾性に影響するからみ合い開始点は異なり, 同一のポリマー濃度では, 弾性に影響する。からみ合いの数は少ない。
    4) 林の理論により, アクリロニトリル共重合体濃厚溶液の緩和スペクトルの箱型部の勾配を検討し, ずり応力の増加とともに, 箱型部は消失し, くさび型部の延長となることを認めた。これはずり応力により分子のからみ合いが消失するためであろう。
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