アクリロニトリル共重合体濃厚溶液をPhilippoff, Gaskinsらの提出した毛細管の末端補正法により, 弾性的変形を粘性と分離して測定した。その結果, 次のことが明らかになった。
1) ずり応力とRecoverable shear strainとは, ほとんど直線関係にあり, Hookeの法則に合い, これより, ずり弾性率を求めうる。
2) 測定温度の増加, ポリマー濃度の減少により, ずり弾性率は大きく減少, 分子量の減少によっては, わずかにずり弾性率は減少する。
3) 粘性に影響するからみ合い開始点と, 弾性に影響するからみ合い開始点は異なり, 同一のポリマー濃度では, 弾性に影響する。からみ合いの数は少ない。
4) 林の理論により, アクリロニトリル共重合体濃厚溶液の緩和スペクトルの箱型部の勾配を検討し, ずり応力の増加とともに, 箱型部は消失し, くさび型部の延長となることを認めた。これはずり応力により分子のからみ合いが消失するためであろう。
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