1968 年 25 巻 284 号 p. 835-839
イソブチルビニルエーテルをトルエン中0~30℃ で, 塩化水素といろいろな金属, 金属酸化物, 金属塩などを組み合わせた系を触媒として重合した。塩化水素はそれ単独では触媒活性を示さないが, 有機溶媒に不溶の固体第2成分を添加すると強力な触媒活性を示した。この触媒第2成分の活性の強さの定量的比較はできなかったが, Ni2O3が重合速度, 分子量ともに良い結果を与えるようであり, また粉末にしたガラスでさえも活性を有することが認められた。この触媒系にる重合開始は次式の機構によるものとして説明された。
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ここでMeは金属あるいは金属化合物など触媒第2成分を示す。この触媒第2成分はLewis酸に類似した挙動を示すわけであり, Cl-を吸着安定化して塩化水素のイオン解離を促進し, 開始反応 (重合反応) 速度を大にするとともに生成ポリマーカチオンとCl-の結合による停止反応を抑制して生成ポリマーの分子量を大きくするものと考えられる。