1971 年 28 巻 311 号 p. 238-244
ハロゲン化アルキル存在下におけるトリオキサンの液相放射線重合を検討し, トリオキサンの重合を熱的に開始しないハロゲン化アルキルの存在下で放射線を照射することによりトリオキサンが液相で重合する事実を認めた. 重合速度はトリオキサンに少量のハロゲン化アルキルを添加した組成において極大値を示した. 前照射したハロゲン化アルキルをトリオキサンに添加しても重合は起こらなかった. 重合はラジカル禁止剤およびカチオン禁止剤のいずれによっても顕著に禁止または抑制された. ヨウ化メチル, ブロモホルムなどの存在下にトリオキサンを光照射することによっても重合が開始される事実を認めた. 種々の結果より, 重合はハロゲン化アルキルの放射線分解により生成するハロゲンラジカルとトリオキサンとの電荷移動錯合体によって開始されるものと推定した.