1971 年 28 巻 317 号 p. 751-755,772
1) Poly (γ-rnethyl-D-glutamate) の水への親和性は低いが, 水蒸気の透過係数は10-6cc stp・cm-1・scc-1・cmHg-1程度 (25℃) にきわめて高く, これは拡散係数の大きいことによる。CO2ガスの透過性は水ほどに高くなく, その約1/1000である。
2) ポリマー中の水の拡散係数は水の濃度とともに減少し, これは水分子の会合によるものである。等温吸湿曲線の解析結果もこれを裏付け, 飽和蒸気圧部分で数個の分子からなるクラスターを生じている。ポリマー中の水の自己縮合モデルが適用でき, 4~5分子会合のものまで, 拡散しうる結果を与える。
3) ディラトメトリーによると, このポリマーは28℃ に転移点を有し, これは側鎖の分子運動に関するものと考えられる。水蒸気の拡散係数のArrheniusプロットはこの点で屈曲を生じないが, CO2ガスのそれは, この温度以上で拡散係数が急に大となる。