1972 年 29 巻 327 号 p. 490-495
工業材料に使用される無定形ポリマーのポリ塩化ビニルの片振り引張疲労による疲労き裂伝ぱ機構を結晶性ポリマーであるポリプロピレン, ブレンドポリマーであるABS樹脂のき裂伝ぱ機構と比較した。その結果, 各材料とも巨視的にみて疲労き裂伝ぱ速度はParisらの式にしたがって同じ伝ぱ機構を有するが, 微視的にはまったく異なる伝ぱ機構を有し, 本研究に使用したポリ塩化ビニルはstriationはできずにdimple状のパターンを破面に生じた。しかし, ポリプロピレンとABS樹脂は高応力レベルではstriationはできるが, 低応力レベルではできず, それぞれ異なるき裂伝ば機構を有した。