高分子溶液の流動複屈折現象の主因と目される溶質高分子の配向を溶液中に浮遊する高分子により形成されると仮定した弾性球模型の変形で置き換えて論じた。すなわち消光角χから, この球のひずみ, 主ひずみ差ならびにずりの弾性係数Gmを求める関係式を示した上で, 同心円筒型装置によるカルボキシメチルセルロース水溶液など種々な試料の流動複屈折に関する実測値をそれらの式に基づいて整理した。そして単位光路長当りのしま次数nと球のひずみおよび主ひずみ差との関係を検討した。またχとGmをそれぞれ動的損失正切tanδおよび動的弾性係数G′ (ω) と対比させ, 動的静的粘度換算法を適用してみた結果, tan2χとtanδは一致し, G′ (ω) の値はGmよりもむしろ一次法線応力差の1/2に近い傾向が認められた。