高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
原綿と水の存在下でのメタクリル酸メチルの重合に及ぼすモノマー過酸化物の影響
田中 善蔵
著者情報
ジャーナル フリー

1974 年 31 巻 4 号 p. 239-243

詳細
抄録

原綿と水の存在下, 開始剤を用いないで, メタクリル酸メチルの重合を行ない, MMA過酸化物の重合に及ぼす影響について検討した。MMAが10ml以下, MMA過酸化物の濃度が22.4×10-4mol/l以下の場合には, 重合速度Rpは近似的に,
原綿不在下では, Rp=k [MMA] 1.0 [MMA過酸化物] 0.50
原綿存在下では, Rp=k [原綿] 1.0 [MMA] 1.0 [MMA過酸化物] 0.55
で表わされる。重合速度は原綿存在下では, 熱重合に比べて増大する。実験結果から考えるとMMA過酸化物が存在しないと重合は起こらないことを暗示している。MMA過酸化物は, 原綿および水との相互作用により分解されて, ラジカルを生じ, 重合が開始されるものと考えられる。重合反応の活性化エネルギーは, MMA過酸化物の濃度が11.1×10-4mol/lのとき, 13.5kcal/molであった。

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top