高分子論文集
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酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合フィルムにおけるランダム性構造とブロック性構造の気体透過性への影響
山田 純男
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1976 年 33 巻 6 号 p. 357-360

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抄録

ポリ酢酸ビニルを部分けん化して得られたもの (Sap-PVAc) と, ポリビニルアルコールを部分再酢化して得られたもの (Acet-PVA) の2種類のポリ (酢酸ビニル-ビニルアルコール) 共重合体フィルムについて, ヘリウム, 炭酸ガスと酸素の気体透過性を検討した. ブロック的構造をもつSap-PVAcとランダム的構造をとるAcet-PVAの両者を同一共重合組成比で比較すると, いずれの気体透過係数もランダム性構造よりもブロック性構造の方が低い値をとることが分かった. 気体透過係数の活性化エネルギーを求めてみるとランダム性構造よりもブロック性構造の方が大きく, 難透過性成分であるビニルアルコール単位の連鎖がある程度集団的に分布した構造の方が分散した構造よりも拡散に必要な高分子鎖のセグメント運動をより強く束縛するものと考えられる。

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