側鎖に感光基としてケイ皮酸基を有するゴムの感光性とその側鎖構造の影響について検討する目的で, トランスーポリペンテナマー, シス-1,4-ポリブタジエン, およびトランス-1,4-ポリプタジエンに, 空気存在下, メルカプトエタノールを付加させ, 2-ヒドロキシエチルチオ基含量の異なるポリマーを合成し, これと, ケイ皮酸クロリドと反応させ感光性ゴムの合成を試みた. メルカプトエタノールはシスおよびトランス-1,4-ポリブタジエンにはほとんど付加しなかった. 前報で報告したヒドロキシメチル基をもっポリペンテナマーのケイ皮酸エステル誘導体と2-ヒドロキシエチルチオ基をもつポリペンテナマーのケイ皮酸エステル誘導体の感光性を比較した. 2-ヒドロキシエチルチオ基のようなより長い側鎖基の導入は, ポリマー鎖の可塑化をもたらすとともに, 反応の頻度因子を増し感光性を高めることが明らかとなった. また, 感光基濃度の増大は, 感光基の反応性を低下させ, ある感光基濃度において感光性の極大が現れた. これらの現象をポリマーのガラス転移温度とめ関係から定量的に考察した.