高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
ポリビニルアルコール-ヨウ素錯体の呈色を利用する光画像形成法
田中 誠加藤 明箸尾 幸之助白井 正充角岡 正弘
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 37 巻 4 号 p. 221-225

詳細
抄録

塩化第二鉄を含むポリビニルアルコールを塗布した紙を光照射した後, KI溶液に浸すと, 非露光部のみにヨウ素錯体が生成し, 画像が形成された. この感光紙の感度は小さかったが, 塗布液にシュウ酸を添加したときにはかなりの感度の増大がみられた. シュウ酸は塩化第二鉄と反応してシュウ酸第二鉄塩を生成する. したがって, シュウ酸の添加によって感度が増大したのは, シュウ酸第二鉄塩の効果によるものと推定される. この点を明らかにするために, シュウ酸第二鉄塩を含む塩化第二鉄水溶液の光反応について検討した. その結果, シュウ酸第二鉄塩は塩化第二鉄に先立って光還元を受け, 還元中間体として生成するシュウ酸イオンおよびシュウ酸ラジカルイオンによって塩化第二鉄の光還元が促進され, また, 還元生成物であるFe2+イオンによって塩化第二鉄のI-酸化能が抑制されることを見いだした.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top