高分子論文集
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トリス (2,2′-ビピリジン) ルテニウム錯体の固定化高分子膜とその発光特性
河合 和三郎
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1980 年 37 巻 4 号 p. 303-309

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抄録

トリス (ビピリジン) ルテニウムジクロリド (I) およびトリス (ビピリジン) ルテニウムジシンナマート (II) が, 80%のエステル化度をもつポリビニルアルコールのケイ皮酸エステル膜に, キセノン照射による光橋かけまたは熱描かけにより固定化された. 錯体 (II) は錯体 (I) とケイ皮酸カリウムより合成し, NMRにより同定した. 熱橋かけで固定されたルテニウム錯体の高分子膜では, 600nmのリン光に対する励起スペクトルは, 水溶液中でのそれと, 極大励起波長が長波長側にシフトするが, よく似ていた. しかし, これらの膜を可視光で照射すると, 470または485nmの一重項-一重項励起による吸収が減じ, 新たに550nm付近に一重項-三重項によるとみられる励起吸収が現れ, リン光強度を著しく増大させた. これらの挙動は, いくつかの異なったルテニウム錯体固定化膜につき, はっきりと確認された.

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