高分子論文集
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生体膜モデル系としてのフェノキシ基を有するモノアルキル型界面活性剤の構造と光化学的機能
長村 利彦弓立 浩三有田 俊幸松尾 拓
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1980 年 37 巻 4 号 p. 311-318

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抄録

光吸収および発光能をもつフェノキシ基をアルキル鎖のミつの異なる位置に有するモノアルキル四級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤を合成し, 水溶液中での集合特性および光化学反応への適用を検討した. これらの界面活性剤は水溶液中でミセルを形成する. フェノキシ基の位置は次のような効果を示した. フェノキシ基がミセル表面近くにあるほど, 1) CMCが減少, 2) ミセル中である程度配列しているフェノキシ基間の相互作用が減少, 3) ミセル内部に可溶化されたべリレンのN, N-ジメチルアニリンによる消光定数が増加した. N, N-ジメチルアニリン存在下でべリレンを光励起するとミセル界面の存在により有効な電荷分離が起こるが, その分離効率は通常のカチオン性ミセルよりフェノキシ基を有するミセルの方が優れている.

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