高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
ポリフェニレンフタルアミド共重合体の耐熱性
小島 敬和中村 俊範保坂 義信
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 38 巻 11 号 p. 791-796

詳細
抄録

ポリ (フェニレンフタルアミド) の規則性およびランダム共重合体の各種メタ・パラ異性体を合成した. これら共重合体の主鎖を構成するモノマー組成を, IR吸収スペクトルとプロトンNMRの測定によって決定した. 更に, 熱重量-示差走査熱量同時測定 (TG-DSC) により, これら共重合体の耐熱性を評価して, 構造と耐熱性の関係を検討して次の結果を得た. m-あるいはp-フェニレンジアミンとテレフタル酸クロリド (TPC) あるいはイソフタル酸クロリドから成るランダム共重合体は, 主鎖に仕込み組成より多くテレフタロイル基を含んでおり, しかもブロック性を有する. また, 転位に関係するDSCの吸熱ピーク温度は, 主鎖中に実際に含まれているパラ結合芳香環組成の増大につれて高くなるが, 一方, TGから求まる熱分解温度は, 仕込みTPC組成の増大につれて高くなる. これらの現象は, 規則性共重合体の熱的挙動と比較することによって, 共重合体のランダム性による局所的熱分解促進ということに関係あるものと考えられる.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top