高分子論文集
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38 巻, 11 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 奥野 健次
    1981 年38 巻11 号 p. 749-755
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    マイカおよびガラスフレークで強化したマチレン-アクリロニトリル共重合樹脂 (AS) の臨界ひずみエネルギー解放率Ccをシャルピー衝撃値から算出し, その結果をガラス繊維強化ASの場合と比較しながら検討した. 複合則を用いて算出した強化材のGc, すなわち (Gc) fは, 強化材の体積分率Vf, および強化材のll2/dの上昇とともに高くなる傾向を示した. ここでlはフレーク径または繊維長, dはフレーク厚さまたは繊維直径である. 強化材のVfおよびll2/dが一定の場合, フレーク強化複合材料の (Gc) fは, 短繊維強化複合材料のそれの約0.5となった. この結果は, 強化材のマトリックスからの引抜きエネルギーについての考察により説明することができた.
  • 白石 誠, 今井 清和, 松本 昌一
    1981 年38 巻11 号 p. 757-762
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコールが放射線照射により分裂すること, 同時にカルボニル基を生成することはよく知られているが, このカルボニル基が分裂でできたものか, またはこれと独立に主鎖中にできたものか明らかでない. これを明らかにするために照射ポリビニルアルコールの重合度, カルボニル基量を測定した. 粉末で室温で照射すると, ポリビニルアルコールは分裂し, 同時に末端カルボニル基が増すが, 並行して主鎖中にケト型カルボニル基が増加する. またカルボキシル基も増すが, この増加は分裂量や, カルボニル基の増加に比べてはるかに少ない. 結局, 照射によりポリビニルアルコールか酸化されて主鎖内にケト基が生じ, ついでこのβ-ヒドロキシケトカルボニル基が一部分解するか, または酸化と独立に分裂か起こると考えられる. 水溶液で照射すると, 重合度, カルボニル基が増加するが, このカルボニル基の大部分は主鎖中に生成している.
  • 中村 邦雄, 畠山 立子, 畠山 兵衛
    1981 年38 巻11 号 p. 763-767
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    非晶性で水酸基をもつ一連のスチレン-ヒドロキシスチレン共重合体を調製し, 側鎖水酸基の数および吸着した水分量が, その分子運動に及ぼす影響について検討した. 共重合体のガラス転移温度 (Tg) は水酸基の増加とともに上昇し, 主鎖の動きは水酸基による分子間水素結合により束縛されることを示している. さらに共重合体中の吸着水はポリマーのTgを大きく低下させ, Woodらの加成性の式からも水分子による可塑効果だけではなく, 水素結合の切断が大きく影響することが見いだされた. さらに共重合体のTgがポリスチレンのTgまで下がるに要した吸着水を定量し, 水素結合の形成能力を定量的に推定した.
  • 折原 勝男, 樋口 才二, 松本 昌一
    1981 年38 巻11 号 p. 769-773
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ジニトロクロロベンゼンとNaOH (1) およびシクロヘキシルアミン (CHA) (2), ジニトロフルオロベンゼンとNaOH (3) およびCHA (4) の水溶液中での反応に対するポリビニルピロリドン (PVP) の添加効果を調べた. PVPの添加はいずれの反応をも加速し, その効果は実験の範囲 (Mv=2.1×104~200×104) では分子量2.1×104で最大で分子量が増すと低下する. モデル低分子, N-メチル-2-ピロリドンでは加速効果はほとんどないことから, 効果のピークは2×104付近にあるといえる. [PVP] =10-3~10-2mol/lから効果が発現し, ~0.76mol/lまで単調に増加する. 加速効果の大きさは (1) >> (3), (4), (2) の順である. エタノールの添加で効果が低下するので, PVP効果には基質とPVP間の疎水的な相互作用が関与していると考えられた. 同反応はまたポリエチレングリロールによっても加速され, ポリビニルアルコールによっては減速される.
  • 折原 勝男, 松本 昌一
    1981 年38 巻11 号 p. 775-780
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    p-ニトロフェニルエステルのアルカリ加水分解に対するポリビニルピロリドン (PVP) の添加効果を調べた. エステルには酸基炭素数が2, 6および12個の3種を, PVPは実験室重合物および市販品で分子量Mvが1.1×104~144×104のものを用いた. アルカリ加水分解速度はPVPの添加により加速され, その効果はアルカリ濃度2×10-6~5×10-4mol/l実験範囲では変わらない. PVP効果は [PVP] 0.01wt%で現れ0.1wt%以上で急に増し, またPVPの分子量に依存し, Mv=1×104~5×104で最大を示す. さらにエステルの炭素数を大きくすると, すなわち基質の疎水性を増すと, 効果は増す. PVP効果の理由はエステルとOH-がPVPに引きつけられて局所的に濃縮されるためと考えられる. 同反応はポリエチレングリコールによっても加速されるが, ポリビニルアルコールでは減速される.
  • 池田 能幸, 西村 和雄, 河田 政広, 香西 保明
    1981 年38 巻11 号 p. 781-786
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    過硫酸アンモニウム (APS) を開始剤としてメタクリロイルアミノ酸 (アミノ酸: アラニン, バリン, β-アラニン, ∈-アミノカプロン酸) の水溶液重合を行い, 主として重合速度 (Rp) のpH依存性について検討した. その結果, いずれのモノマーも, Rpは酸性領域ではpHの増大に伴い急速に増加し, pH 7以上ではほぼ一定てあった. この傾向はAPSの分解速度のpH依存性とよく一致する. さらに比較のため, APSの代りにアゾビスイソブチロニトリルを用いたところ, Rpはかなり小さくなるが, そのpH依存性はほぼ同様の傾向を示した. また, Rpはいずれのモノマーの場合もpHに関係なく, モノマー濃度に関しては1次, 開始剤濃度に関しては0.5次に比例した. これらメタクリロイルアミノ酸のRpのpH依存性は, アクロイルアミノ酸のそれとは大きく異なる. この理由について若干の考察を行った.
  • 上田 充, 原田 俊明, 平田 勝彦, 今井 淑夫
    1981 年38 巻11 号 p. 787-790
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    新しい活性ジアミドとして, N, N′-ジアシルビス-2-ベンゾオキサゾロンを二塩化ジアシルと2-ベンゾオキサゾロンから合成した. 活性ジアミドとジアミンとの重縮合反応により中程度の対数粘度をもつポリアミドを得た. さらに, 1-ヒドロキシベンゾトリアゾールの添加効果を, N, N′-イソフタロイルピス (2-ベンゾオキサゾロン) とビス (4-アミノフェニル) エーテルの重縮合反応について検討した結果, 対数粘度0.81までのポリアミドを得ることができた. 重縮合に先立って, モデル反応として, N-ベンゾイル-2-ベンゾオキサゾロンとアミン類の反応についても検討を加えた.
  • 小島 敬和, 中村 俊範, 保坂 義信
    1981 年38 巻11 号 p. 791-796
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ポリ (フェニレンフタルアミド) の規則性およびランダム共重合体の各種メタ・パラ異性体を合成した. これら共重合体の主鎖を構成するモノマー組成を, IR吸収スペクトルとプロトンNMRの測定によって決定した. 更に, 熱重量-示差走査熱量同時測定 (TG-DSC) により, これら共重合体の耐熱性を評価して, 構造と耐熱性の関係を検討して次の結果を得た. m-あるいはp-フェニレンジアミンとテレフタル酸クロリド (TPC) あるいはイソフタル酸クロリドから成るランダム共重合体は, 主鎖に仕込み組成より多くテレフタロイル基を含んでおり, しかもブロック性を有する. また, 転位に関係するDSCの吸熱ピーク温度は, 主鎖中に実際に含まれているパラ結合芳香環組成の増大につれて高くなるが, 一方, TGから求まる熱分解温度は, 仕込みTPC組成の増大につれて高くなる. これらの現象は, 規則性共重合体の熱的挙動と比較することによって, 共重合体のランダム性による局所的熱分解促進ということに関係あるものと考えられる.
  • 片岡 清一, 安東 忠直
    1981 年38 巻11 号 p. 797-799
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    要旨 キトサン酢酸塩 (CS・AcOH) の存在下でのメタクリル酸ナトリウム (MAA・Na) を, 過硫酸カリウム (KPS) を開始剤に用いて, 水溶液中30℃で, リビングラジカル重合を行った. CSAc・OH/MAA・Naモル比は1であった. GPC分析から, 生成ポリマーとマトリックスとして用いたキトサン (CS) の数平均重合度およびMw/Mn比の関係を調べた. PMAAの重合率が, 100%に近づくと, PMAAとCSの両者の数平均重合度およびMw/Mn比は似かよっていることを見いだした. すなわち, CS分子の影響を受けてマトリックス重合していることを示唆した.
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