高分子論文集
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ヘリックスーコイル転移領域におけるポリ (ε-カルボベンゾキシL-リシン) の電気複屈折
杉沢 寿志鳥海 弥和渡辺 啓
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1988 年 45 巻 12 号 p. 937-944

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抄録

ヘリックスーコイル転移領域におけるポリペプチド鎖の形態変化に関する知見を得る目的でポリ (ε-カルボベンゾキシL-リシン) の電気複屈折測定を行った. まず, Zimm-Bragg理論をもとに比カー定数Bvpの変化を記述する表式を導き, ついでジクロロエタンージクロロ酢酸混合溶媒中における実験結果について解析した. 転移に伴うBvpの変化は. 旋光分散測定より得られた転移パラメーターを用いて再現され, 特にヘリックスの柔軟性を補正した場合にはほぼ定量的な再現性を得ることができた. また, 複屈折に影響を及ぼす種々のファクターについて検討し, 電場誘起によるコンホマー平衡の変化がないこと, コイル残基は複屈折に寄与しないこと, ヘリックスの配向は永久双極子モーメントによること, さらに鎖中に共存するヘリックス・シークエンスの配向相関が無視できることを示した. 以上の結果より, 電気複屈折法がポリペプチドの空間形態解折法として有効であることを明らかにした.

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