1988 年 45 巻 6 号 p. 511-517
均一表面を有するポリ (2-ヒドロキシェチルメタクリラート) (PHEMA), ポリスチレン (PSt) を対照群としてミクロドメイン構造表面を有するHEMA-St ABA型ブロック共重合体の抗血栓性のメカニズムを解明するために, マイクロスフィアカラム法を用いて, これら材料表面に粘着したラット血小板の形態変化を走査型電子顕微鏡にて, 内部構造変化を透過型電子顕微鏡にて解析した. その結果, ミクロドメイン構造表面を有するブロック共重合体はPHEMA, PStに比較して血小板の形態変化, 内部構造変化を著しく抑制していた. 特にHEMAとStが30~50nmの間隔で規則的に並ぶラメラ構造表面を有するブロック共重合体は血小板の活性化を最も抑制することが明らかになった. このHEMA-Stブロック共重合体の抗血栓性の発現はそのミクロドメイン構造が血小板形質模に存在する糖タンパクの集合を規制することに起因しているものと推察される.