抄録
15種類の疎水性ポリマーに収着した軽水と重水の赤外スペクトルを初めて測定し, 水の三っの基本振動バンドνa, νs, δの振動数をそれらのポリマーについて整理した. その結果, (1) 逆対称伸縮振動νaの値に対して, 対称伸縮振動νsと変角振動δの値をそれぞれプロットすると両者とも直線関係になるがνa-νa直線とδ-νa直線とで勾配が逆向きになる事実を見いだした. さらに, (2) 疎水性ポリマー収着水の伸縮振動νaときごνsについての同位体振動数比r (軽水/重水) の値は, 液体水よりも気体水に近い値であった. これら二つのデータ整理から, 疎水性ポリマー中の収着水は液体水のような状態でなく気体水と同様な単分子状態で, かつポリマーから弱い引力相互作用を受けた状態で存在しているとする我々のこれまでの考えを支持・補強する結果を得た.