日本臨床外科学会雑誌
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症例
再手術が有効であった胃全摘術後逆流性食道炎の1例
宮村 径久留宮 康浩水野 敬輔世古口 英小林 聡湯浅 典博
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2016 年 77 巻 9 号 p. 2201-2205

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抄録

症例は57歳,男性で,胃癌(pT2,pN0)に対し胃全摘,Roux-en-Y再建を施行した.術直後より強い胸焼けのため経口摂取が不良となり,上部消化管内視鏡検査ではGrade D(ロサンゼルス分類)の逆流性食道炎を認め,24時間食道内ビリルビンモニタリングでは測定時間の72.6%に仰臥位優位の胆汁逆流を認めた.上部消化管造影検査では食道空腸吻合部と空腸空腸吻合部との距離が30cmと計測され,これが短いことが十二指腸液逆流の原因と考え,胃全摘術後の1年半後に再手術を施行した.空腸空腸吻合部を切離し,食道空腸吻合部から90cm肛門側の空腸に空腸を再吻合した.術後,胸やけは消失し,24時間食道内ビリルビンモニタリングでも胆汁逆流を認めなかった.再手術後3カ月目に行った上部消化管内視鏡検査では逆流性食道炎は治癒していた.胃全摘術後逆流性食道炎の病態把握,手術適応の決定,効果判定に食道内ビリルビンモニタリングが有効であった.

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