抄録
鎖状高分子のガラス状態における分子形態と立体規則性の関係を明らかにする目的で, 立体規則性の異なるポリスチレンのガラス試料 [アイソタクチック (IPS), アタクチック (APS), シンジオタクチック (SPS)] について, 振動分光および小角中性子散乱 (SANS) によりそれぞれ局所的な分子配座および分子全体としての形態を考察した. IPS<APS<SPSの順で局所的な主鎖トランス配座の割合が増し, 分子のstiffnessが大きくなることが赤外および低波数ラマン (D-LAMモード) スペクトルから示唆された. 一方, SANSによりガラス状態でポリスチレン分子は立体規則性によらず非摂動Gauss鎖形態をとるが, その広がりはIPS<APS<SPSの順で大きくなることが明らかとなった.