高分子論文集
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共蒸着法によるニッケルフタロシアニン錯体の生成における複合膜の非凝集化の効果
折原 勝男土屋 和尋野内 健太郎青木 勝博中野 正博丹野 裕司菅野 榮一
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1998 年 55 巻 5 号 p. 255-260

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抄録

ニッケル (Ni) とフタロシアニン (Pc) ならびにパラフィン (Pa) を, 通常の高真空蒸着装置を用いて, 異なる蒸着源から同時に蒸着し混合膜 (Ni*Pc*Pa) を作製した. そのNi*Pc*Pa試料の希薄溶液について可視吸収スペクトルを測定し, 前報のNi*Pcの場合と比較した. その結果Ni*Pc*Paでは蒸着したPc成分の約70%がNiPcに変化し, Ni*Pcの場合の50%に比べ錯化収率が向上することがわかった. また, Ni*Pc*Paの反射X線回折測定および電子線回折測定ならびに透過型電子顕微鏡観察により, 混合膜中のPc成分の結晶性および結晶サイズがPcの単独蒸着膜および前報のNi*Pcに比べて大幅に減少することがわかった. 上の二つの結果から, Paの添加による混合膜中のPc成分の凝集性の低下が, 錯化反応の収率向上をもたらすことがわかった.

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