ポリカーボネート (PC) に油脂を添加し熱分解を行い分子量の変化を測定した. 一般に, 油脂は高い熱安定性をもつため常圧下でも高温処理 (300~400℃) が可能となり, また熱媒体として有効であると同時に低分子の溶剤としての性質をもつ. したがって, PC/大豆油混合物を300~350℃に加熱したところ, PCは分子量数千のオリゴマーに分解し油中に溶解した. PCの分解は高温における主鎖の切断やトリグリセリドとのエステル交換反応により進行し, 油脂から分解生成する水や脂肪酸の影響を大きく受けた. PCにステアリン酸を添加して300~350℃で加熱したところ, PCの分子量が急激に低下し, 一定となった. ステアリン酸による還元雰囲気とアシドリシスの平衡によって, 分解生成オリゴマーは安定化すると考えられる. またステアリン酸添加量の調節することで, 平衡状態における分子量を制御できる可能性が見いだされた.