2019 年 40 巻 p. 106-123
女性文末助詞「わ」「かしら」不使用など、日本語の中性化がいわれているが、作家性が反映するTVドラマや映画では、自然談話よりも女性・男性形式の使用が残っているという。しかしこれらの分野でも、現実の影響を受けた作家性の変化や、観客に受容されるリアリティから、通時的にみれば中性化は進んでいる。
映画『何者』の文末形式や、丁寧体の使用、若者ことばなども中性化してきている。一方、一部の男性文末助詞や「すげー」「ねー」などの音変化、人の呼び方などについては、男女差があいかわらず残っているが、それらは自然談話の状況とほぼ一致し、実際の話しことばを反映しているといえる。