ことば
Online ISSN : 2424-2098
Print ISSN : 0389-4878
個人研究
配慮の観点からみる行為要求表現の新しい枠組みの提案
金 玉英
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2020 年 41 巻 p. 71-88

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抄録

現代日本語行為要求表現の分類と枠組みにおいて、従来の研究では「行為者」「決定権者」「受益者」という三つの要素を軸にしている。本稿では「行為者」という基準は枠組みを捉えるに当たって(分類全体を左右するような)決定的な意味を持たないこと、「受益者」という概念は有効ではあるが、有効範囲が先行研究の捉え方より狭く、意味を持つのは「依頼」だけであり、ローカルなものに過ぎないことを論じる。そして、各機能(特に「依頼」と「勧め」)の定義を捉え直し、「聞き手意志配慮」「共同意志形成」という観点を取り入れ、各機能の定義に基づいた新しい枠組みを提案する。「命令」は話し手が聞き手の意志を配慮せず、直接的・積極的に行為を要求する「-配慮」の行為要求表現であり、「依頼」「勧め」「勧誘」はどちらも聞き手意志を配慮した「+配慮」の行為要求表現であるが、それぞれ「配慮の仕方」が異なることを主張する。

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© 2020 現代日本語研究会
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