2022 年 65 巻 p. 75-82
コンパクト度の高い都市では、低い都市より住民の移動手段として歩行や公共交通が選好されると期待されている。歩行時間が長いと健康状態は良好であり、自動車の利用時間が短いと環境負荷が低くエネルギー消費も効率的である。そこで、「人口密度」と「近接性」の2つの要素を合わせ持った「基準化された標準距離(NSD)」を用いて、都市(=基礎自治体の市)のコンパクト度と住民の移動距離や手段ごとの移動時間との関係を検証した。分析の結果、都市のコンパクト度が高いと①住民の移動距離は短く、②歩行や自転車、公共交通の移動時間は長く、③自動車の移動時間は短いことが明らかとなった。