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交通学研究
Online ISSN : 2434-6179
Print ISSN : 0387-3137
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都市鉄道の利用頻度別運賃構造の変化とその評価
新納 克広
2022 年 65 巻 p. 11-18
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_11
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都市鉄道には普通運賃、定期運賃以外に利用頻度、利用量、利用者の属性に応じた割引運賃があり、これらに距離別、時間帯別を加えた複数の次元からなる運賃構造が存在する。最近まで利用頻度に関する運賃構造は安定していたが、ICカードの導入とともに、回数券や磁気回数カードに代わって、新たな割引であるポイント付与が盛んになってきた。ポイント付与の割引率は回数券より低い。輸送量の減少を運賃値上げで補いたい事業者は、上限認可制の普通運賃や定期運賃でなく、届出制や自由設定の運賃種別の値上げを選択している。これは、認可制と届出制と自由設定を併用する現在の運賃規制に矛盾を生じさせている。運賃理論から、回数券型の利用頻度割引を継続する積極的な理由を見いだせない。ICカードの技術特性と結びついた新しい運賃の広がりが、運賃規制の再検討を促し、運賃種別や運賃認可制度の大幅な見直しにつながる可能性がある。
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(847K)
整備新幹線並行在来線の旅客輸送に関する考察-パネルデータ分析による検討-
那須野 育大
2022 年 65 巻 p. 19-26
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_19
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本研究の目的は、パネルデータ分析に基づき、整備新幹線並行在来線の旅客輸送について考察することにある。まず、(1)既存開業8社の4年間(2015~2018年度)のデータを対数線形モデルで分析した。その結果、「列車本数(係数0.623)」「沿線人口(同0.566)」「自動車保有台数(県民所得と高い相関)(同2.299)」が「輸送密度」に正の影響を、「高齢化率(同-0.053)」が「輸送密度」に負の影響を、それぞれ与えることが明らかとなった。次に、(2)(1)に基づき今後開業4区間への示唆を行う。石川県と福井県では比較的堅調な経営が予想されるが、佐賀・長崎両県と北海道では、厳しい状況が懸念される。
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(1363K)
「ストック効果」の定量的分析:復興道路整備を対象として
中村 知誠
2022 年 65 巻 p. 27-34
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_27
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「ストック効果」は第5次社会資本整備重点計画においても多用されており、概念上定着したとみてよい。しかし、効果の検証はインフラが区間別に供用され、整備効果が発現する範囲の確定が難しいこともあり、多くが事例の積み重ねにとどまる。そこで本稿では、統計的因果推論の代表的な手法である差の差分析を用いて、東日本大震災後に整備が進む復興道路のストック効果の計測を試みた。分析から、ストック効果が発現したことが明らかになったほか、仙台市からの距離が増大するにつれて整備効果が減衰することや、開通からの年数の経過によって整備効果が累積され、大きくなることなどが明らかになった。
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(1414K)
道の駅の経営効率性と要因分析-全国の道の駅を対象としたアンケート調査から-
小熊 仁
2022 年 65 巻 p. 35-42
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_35
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本論文では、全国1147件の道の駅を対象としたアンケート調査結果に基づき、SBM-DEAと多段階推計法を利用し道の駅の効率性評価と効率性に影響を与える要因について分析を行った。その結果、効率的となった駅は有効回答サンプル312駅中13駅に上り、効率性は隣接道路の交通量をはじめ様々な非裁量要因によって左右されることがわかった。その一方で、道の駅の効率性は地域や運営形態別に異なり、これらの効率性格差には指定管理者制度を通した民間委託や併設施設の特性などの要因が影響を与えていることが明らかとなった。
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(1085K)
「運輸連合」という形態での交通事業者間の連携を実現させた要素の考察
土方 まりこ
2022 年 65 巻 p. 43-50
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_43
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ドイツ各地の地域公共交通は、運輸連合を介した複数の交通事業者による緊密な連携の下で提供されている。本研究は、その嚆矢となるハンブルク運輸連合につき、その設立を巡る構想や経緯を検証した。これにより、異なる立場や属性を有する交通事業者による連携という前例のない取組の実現に向けては、多岐に渡る膨大な利害調整の過程を経る必要があったことを明らかにした。また、運輸連合の創設を提案した地域側の関係主体による目標の言語化と共有、目的の達成を重視した現実的な対応といった要素こそが、設立交渉を成功に導く上で不可欠であったとの結論を導き出した。
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(829K)
アフターコロナにおける観光列車と沿線地域の在り方
安達 晃史, 宋 娟貞, 湧口 清隆, 那須野 育大
2022 年 65 巻 p. 51-58
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_51
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本研究は2021年2月~3月に観光列車を運行する鉄道事業者を対象に実施したアンケートをもとに、コロナ禍後における鉄道事業者と沿線地域(住民、企業、自治体等)との関係を考察した。その結果、鉄道事業者が自社の利用者増・収入増と観光入込客数増加の一方ではなく、双方を主目的とした観光列車の運行をめざさなければ、沿線地域からの支持や協力を受けられにくいことが示唆された。
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(1049K)
GoToトラベル事業は地域間移動を促したのか?-高速道路交通量増減に着目した実証分析-
小川 顕正, 赤井 伸郎
2022 年 65 巻 p. 59-66
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_59
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本研究は、高速道路の交通量の増減からGoToトラベルの効果を検証したものである。2020年4月11日から2021年1月31日までの日別データを用いた実証分析により、小型車の交通量がGoToトラベルの影響を受けて増えたこと、平日よりも休日の効果が大きいこと、高速道路周遊パスをGoToトラベルの割引と対象としたことが効果を大きくしていることのほか、大都市をつなぐ大動脈(東名や名神)から大都市とその周辺から地方へと延びる高速道路上の地点において相対的に大きな効果が見られた。結果として、GoToトラベルは、高速道路を使った旅行需要を増大させる効果があったと言えよう。
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(1225K)
交通行動変化に着目した大規模イベント交通規制効果に関する分析
井ノ口 弘昭, 秋山 孝正
2022 年 65 巻 p. 67-74
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_67
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我が国の大都市圏では、国際的な大規模イベントが開催され、これらに対応する交通処理が重要な課題である。本研究では、大規模イベント時の交通規制に対応する効果的な自粛要請の方法を提案することを目的とし、2019年6月に開催されたG20大阪サミットの交通行動変化を分析する。具体的には、サミット時の交通行動変化に関するWebアンケート調査から、トリップ自粛意思決定モデルおよび交通手段変更意思決定モデルの2段階の意思決定モデルの構築を行う。これらの分析結果から得られた知見を整理することにより、今後の同種の大規模イベント実施時の交通政策の参考となることが期待される。
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(932K)
都市のコンパクト度と住民の移動距離や移動時間に関する分析
沓澤 隆司, 赤井 伸郎, 竹本 亨
2022 年 65 巻 p. 75-82
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_75
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コンパクト度の高い都市では、低い都市より住民の移動手段として歩行や公共交通が選好されると期待されている。歩行時間が長いと健康状態は良好であり、自動車の利用時間が短いと環境負荷が低くエネルギー消費も効率的である。そこで、「人口密度」と「近接性」の2つの要素を合わせ持った「基準化された標準距離(NSD)」を用いて、都市(=基礎自治体の市)のコンパクト度と住民の移動距離や手段ごとの移動時間との関係を検証した。分析の結果、都市のコンパクト度が高いと①住民の移動距離は短く、②歩行や自転車、公共交通の移動時間は長く、③自動車の移動時間は短いことが明らかとなった。
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(1762K)
公共交通空白地での住民同士の相乗り促進のための一考察
原田 峻平
2022 年 65 巻 p. 83-90
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_83
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本稿は、公共交通空白地での住民同士の相乗り促進の方策を検討することを目的としている。そのために、公共交通空白地である高山市高根地区でアンケート調査を行い、プロビットモデルを用いて乗せてもらう側と乗せる側の双方の相乗りに対する抵抗感を決定する要因を明らかにした。その結果、乗せる側についてはモデルの説明力が小さく、地域貢献などの住民の感情についての調査が必要であることが示された。一方で、乗せてもらう側については、年齢や日常的な移動の有無などが抵抗感に影響を与えていることが明らかとなり、既存の交通手段との補完関係から抵抗感を捉えることができると示唆された。
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(868K)
沿線住民意識に着目した地下鉄代替路線BRTの評価に関する研究
秋山 孝正, 井ノ口 弘昭
2022 年 65 巻 p. 91-98
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_91
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本研究では、地下鉄代替路線として運行されるBRT(バス高速輸送システム)の評価について、現行の社会実験に対する市民意見についてのアンケート調査結果から分析を行う。ここでは、具体的な交通行動に対してBRT整備の与える変化をパターン化する。本研究では、BRT沿線の3地域について、交通行動データと利用者意識調査の結果から、BRT整備効果に関する地域特性を考慮した影響分析を実行する。また沿線住民意識から地下鉄代替路線のBRTについての交通行動変化に関する要因分析を行う。これらを踏まえて最終的には、沿線住民意識の分析結果を踏まえた持続可能な需要喚起要因について提案する。
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(1349K)
能に登場する文化財のアクセシビリティに関する研究
辻本 勝久
2022 年 65 巻 p. 99-106
発行日: 2022年
公開日: 2023/04/03
DOI
https://doi.org/10.32238/koutsugakkai.65.0_99
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能に関連する文化財は、伝統文化的な価値に加え、観光資源としての価値も有する。そこで本研究では、紀伊半島を対象に、能の現行全曲に登場する文化財のアクセシビリティの現況について分析し、改善方策を検討した。その際、5つの観点から31の項目と基準を設定し、主に現地調査によってデータを収集した。その結果、1)最寄駅の段差解消率ほか9項目で整備率が3割以下であること、2)紀北、熊野、五條・吉野、伊勢志摩の地域別にみると、18箇所の能関連文化財を有する五條・吉野が複数の項目で最下位であることなどが明らかとなり、そのような状況に至った背景を分析の上、改善方策を提示した。
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