この度,公益社団法人熊本県理学療法士協会学術誌『熊本県理学療法アドバンス』第2巻を発刊する運びとなりました. 今版は,多忙な日常の中で理学療法士が研究に取り組む意義を問う,長崎大学大学院・神津玲先生の特別寄稿から始まります.神津先生は,単に優れた研究者であるだけでなく,臨床現場に根ざした研究を追求される稀有な存在です.先生の真摯な姿勢は,「臨床家だからこそ研究を」というメッセージに集約されています.この寄稿は,日々の臨床に追われながらも「一歩を踏み出したい」と願う多くの理学療法士への力強いエールとなったことでしょう.先生は,研究活動を一部の専門家だけのものではなく,全ての臨床家が取り組むべき専門職としての責務と捉えられています.そして,毎日の真摯な臨床のなかで培われた観察眼や手技を,科学的なエビデンスとして定式化することで,理学療法士自身の仕事の価値を高め,プロフェッショナルとしての自信へと繋げる重要性を説かれています.これは,私たち自身の努力を「可視化」し,未来を築くための指針となります. 続く投稿論文は,その「一歩」が多岐にわたる分野で実践されていることを示しています.減災という社会的課題への参画,職員のワーク・エンゲージメントという組織運営の視点,回復期での具体的な歩行自立基準の作成,先進的なSplit-Belt Treadmill介入の経験.さらには,地域高齢者の身体機能の分析や,全盲ろうという極めて特殊な症例へのリハビリテーション報告まで,多岐にわたるテーマが収載されました.臨床の疑問から,組織,地域,そして社会貢献へと視点が広がる,理学療法士の「今」を映す一冊となったことを実感しております. 今回の発刊にあたり,日頃より本協会の活動にご理解を頂いている熊本県理学療法士協会会員の皆様,会長をはじめとする理事,監事の皆様,そして貴重な知見をご寄稿くださった執筆者の皆様,ご多忙のところ対応いただいた査読の先生方,編集作業にご尽力いただいた編集委員の皆様に,心より深く感謝申し上げます. 皆様の臨床実践,研究活動の一助となれば幸いです.