抄録
本論は、現在グローバル化に伴って、起こっている「脱制度化」を考察するとき、制度の成立を考察してきたこれまでの社会学理論が重要な示唆を与えうることを指摘する。「脱制度化」とは、ギデンズのいう「脱埋め込み化」であり、ローカルからの自律と時空の拡大の運動である。現在は「第二の近代」化の中で、近代的社会制度が解体して、「再帰的個人化」および「心理学化」が帰結している。しかし、そこで社会的なものは解体しているのではなく、個人の中にビルトインされており、この様式を考察する上で、社会学の近代についての、議論は示唆的である。本論では、パーソンズが指摘した「感情中立性」、ゴフマンの指摘した「儀礼」等々が、「心理学化」において、心理の中にビルトインされた社会性であることを確認する。