関東東山病害虫研究会報
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病害の部
黒根腐病菌のダイズ胚軸・根組織への侵入様相
仲川 晃生越智 直加来 久敏
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2011 年 2011 巻 58 号 p. 19-22

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抄録

殺菌土壌に播種後出芽したダイズの胚軸または根部に培養菌叢を置床し,湿らせた濾紙を敷いて湿室としたペトリ皿に保持後,生じた病斑部を切り出してF.A.A.で固定,脱水・パラプラスト誘導した。試料はミクロトームで連続切片として,染色後プレパラートを作成,光学顕微鏡で観察した。この結果,ダイズに置床した黒根腐病菌は,直ちに胚軸・根組織の表面から単菌糸または菌糸塊を形成して侵入する様子が観察された。特に根では根毛からの侵入も認められた。侵入した菌糸は,中心部に向かって細胞間隙に沿って進行するほか,細胞内を直に貫通して進行し,維管束部へ伸展した。侵入部位では表皮に沿い横方向にも伸展し,広く組織を侵害する様子が認められた。侵入後菌糸は肥厚し,4日目までに微小菌核が形成された。病原菌の病原力の大小と菌株の組織侵入の様相について見ると,病原力の強い菌株では侵入部位の組織は大きく崩壊していた。

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© 2011 関東東山病害虫研究会
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