抄録
ベニバナインゲンの栽培上,問題となっているピシウム病害 (茎根腐病,綿腐病) を対象に,農家が容易に取り組める環境保全型総合防除体系の開発を目的に試験を行った。輪作作物としてやまのいもあるいはヘアリーベッチを栽培した跡地で,地温抑制マルチ利用,高畦・紙ポット移植を基本とし,防除体系①には亜りん酸肥料の株元施用を,防除体系②には微生物土壌改良資材の畦内土壌混和等の処理を組み合わせた。茎根腐病の試験圃場 (対照区発病度53.9: 多発生) では,やまのいも輪作跡地の防除体系①②区は,ともに無発病で高い防除効果が認められた。綿腐病試験圃場では,やまのいも輪作した圃場A (対照区発病度98.1: 甚発生) の防除体系①区の防除価は70.6,防除体系②区の防除価は76.5,ヘアリーベッチ輪作した圃場B (対照区発病度97.8: 甚発生) では,防除体系①区の防除価は53.3,防除体系②区の防除価は59.9とそれぞれ甚発生条件下でも実用的な防除効果が得られた。