関東東山病害虫研究会報
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イチゴ葉縁退緑病が果実収量および品質に及ぼす影響
大谷 徹田中 千華鈴木 健植松 清次角野 晶大成松 靖田中 穣
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2011 年 2011 巻 58 号 p. 51-54

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抄録

千葉県ではバクテリア様微生物の1種,‘Candidatus Phlomobacter fragariae’によるイチゴ葉縁退緑病が2003年より継続して発生している。本病が果実生産に及ぼす影響を明らかにするため,発病親株から増殖した苗 (品種‘章姫’) を定植し,収量と果実品質を調査した。その結果,発病株の収穫果実数および総果実重量はそれぞれ健全株の55.4%および19.7%に減少した。また,平均1果重は4.1g,果実の平均可溶性固形物含量 (Brix) は3.2と,健全株 (15.7gおよび8.5) と比べ著しく低下した。また,現地生産圃場における他品種 (‘とちおとめ’,‘女峰’) の発病株においても同様の果実品質の低下が認められた。以上のことから,発病株では収量が大幅に低下するほか,果実の可溶性固形物含量が減少し,商品価値が著しく低くなることが明らかになった。

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© 2011 関東東山病害虫研究会
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