抄録
栃木県の促成イチゴほ場におけるアザミウマ類の発生状況と被害状況について調査した。花の見取りによるアザミウマ類寄生花率調査の妥当性を検討した結果,寄生花率 (p) と花あたり平均寄生頭数 (m) の関係は河野・杉野式によく適合し,推定式[p=1-exp(-0.795m0.948)] で表された。アザミウマ類の発生は10月下旬にピークがみられ,厳寒期に一度減少し,2月以降は調査終了時の4月まで徐々に増加した。発生種は主にヒラズハナアザミウマであったが,一部ハナアザミウマやビワハナアザミウマ,ネギアザミウマもみられた。また,アザミウマ類発生量と被害果率の関係について,異なる販売戦略を想定した2つの一次回帰式を得た。軽微な被害果の出荷を許容しない場合と許容する場合の要防除水準として,被害果率10%時のアザミウマ類の寄生花率はそれぞれ13.3% (95%信頼限界値: 8.7~18.0) ,21.6% (95%信頼限界値: 17.6~26.2) と推定された。