関東東山病害虫研究会報
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虫害の部
シアントラニリプロール粒剤の株元処理によるトマトのミカンキイロアザミウマの防除効果
大井田 寛
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2013 年 2013 巻 60 号 p. 111-114

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抄録

本研究では,CSNV などの媒介者として重要であり,薬剤抵抗性が発達しているミカンキイロアザミウマ (以下,ミカンキイロとする) のトマト生育初期における効果的な防除法の確立を目的とした。トマトの育苗期後半 (定植7日前) または定植時にシアントラニリプロール0.5%粒剤を株元処理し,その後の密度推移を調査することにより,生育初期における防除効果の違いを明らかにした。無処理区では,ミカンキイロ成虫が定植約1ヶ月後以降に急増し,幼虫も漸増して同時期には極めて高い密度に達した。一方,育苗期後半処理区では,ミカンキイロ成虫および幼虫が定植約1ヶ月後まで,それぞれほとんど観察されない状態で推移し,調査終了時まで低い密度に留まった。定植時処理区でもミカンキイロ成虫および幼虫は定植約3週間後まで低密度に抑えられたが,その後は増加し,最終調査時には無処理区の約1/2の密度に達した。これらミカンキイロの密度推移の状況から,本粒剤の残効は育苗期後半処理で処理後約5週間まで顕著に高く,定植時処理では処理3~4週間後まで期待できると考えられた。

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© 2013 関東東山病害虫研究会
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