抄録
2012年5月,栃木県北部においてリンドウ (Gentiana spp.) の極早生の在来系統に,葉先の枯れや輪紋,株の萎縮を生じる症状が発生し,これらの罹病葉からトマト黄化えそウイルス (Tomato spotted wilt virus,TSWV) が検出された。このリンドウから分離されたウイルス株 (SR株) をリンドウに戻し接種したところ,病徴が再現された。また,接種株からRT-PCRによりTSWVに特異的な増幅断片が得られた。さらに,本分離株のN遺伝子の塩基配列を決定し,既報のTSWVと比較したところ高い相同性が示された。以上のことから本症状はTSWVが原因であることが明らかとなった。リンドウでTSWVによる病害の報告はないため,病名をリンドウえそ輪紋病 (新称) とすることを提案する。