関東東山病害虫研究会報
Online ISSN : 1884-2879
Print ISSN : 1347-1899
ISSN-L : 1347-1899
虫害の部
ウメ輪紋ウイルスの拡散防止を主眼とした春季におけるアブラムシ類の防除体系
加藤 綾奈星 秀男山口 修平小野 剛菅原 優司竹内 浩二
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 2015 巻 62 号 p. 160-165

詳細
抄録

2009年4月,東京都青梅市のウメに発生したウメ輪紋ウイルス (Plum pox virus) の拡散防止を目的として,媒介虫であるアブラムシ類の発生消長を調査し,春季における防除対策を検討した。東京都青梅市における有翅アブラムシの飛来は,1~3月にはすでに認められ,その後,4~6月,7~8月,10月下旬~ 12月上旬の年3回のピークがみられた。ウメ樹上での寄生は,年2回大きなピークがあり,1回目は2月下旬に越冬卵から幹母の孵化により始まり,4月上旬より主にウメコブアブラムシの無翅虫が急増し,4月下旬からはムギワラギクオマルアブラムシの寄生が6月まで継続した。2回目は,10月中下旬に有翅アブラムシが飛来,産卵雌を産仔,その後飛来する有翅雄との交尾により12月上旬まで産卵が行われた。春季の薬剤防除では,4月から増加する無翅虫を対象に行われていた慣行防除に対して,幹母をターゲットに萌芽期から満開期 (3月上旬~3月中下旬) までの間に1回の散布を行うことで,最長で38日間アブラムシの寄生を低密度に抑制できた。また,4月下旬以降に葉巻き症状を引き起こす種に対しては,アセタミプリド水溶剤およびチアクロプリド水和剤の2剤が即効的かつ高い効果を示した。

著者関連情報
© 2015 関東東山病害虫研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top