2015 年 2015 巻 62 号 p. 24-27
2010年9月,イチゴ品種「なつおとめ」の夏秋栽培圃場の一部で,花器および果実にGlomerella cingulataによるイチゴ炭疽病が発生し問題となった。そこで花器および果実におけるイチゴ炭疽病に対し,殺菌剤7剤の予防効果を調査したがいずれも防除効果は低かった。次に,本圃への本病潜在感染株の持ち込みを防止することを目的に,育苗期における殺菌剤散布の回数と灌水方法の違いがイチゴ炭疽病の発病に与える影響を調査したところ,株元灌水区が頭上灌水区より発病度が低かった。また,薬剤4回散布区は2回散布区よりも発病度は低かったが,散布回数の効果は明らかでなかった。以上より,育苗期の株元灌水と薬剤散布により本圃への潜在感染株の持ち込みを低減することができると考えられた。