2016 年 2016 巻 63 号 p. 29-33
ナシ休眠期~鱗片脱落期の黒星病防除における散布適期を明らかにする目的で,2014~2016年の3カ年に自然感染下のナシ成木および黒星病菌分生子を塗布接種した苗木を用いた時期別防除試験を実施し,防除効果と腋花芽の生育状況の関係を調査した。その結果,自然感染下の成木の試験では2014年では3月15~28日頃の散布で,2015年では3月13~20日の散布で,2016年では3月13~26日の散布で高い効果が認められた。試験圃場のナシ腋花芽の生育段階では,いずれの年も催芽期~発芽期で高い防除効果が認められ,出蕾初期の生育段階の腋花芽が多い時期以降での散布では十分な防除効果が得られなかった。また,塗布接種した鉢苗を用いた腋花芽の試験においても催芽期~発芽期の散布が最も防除効果が高く,前述の結果と概ね一致した。