2016 年 2016 巻 63 号 p. 34-37
千葉県において,ナシ「幸水」の心腐れ症は生産現場で認識しにくく,消費者の産地に対する信用に関わるため,問題となっている。本症状は,薬剤だけでは完全な防除は難しいことから,耕種的防除も併せた対策が必要である。そこで,薬剤散布に加え,感染経路の一つと考えられる花かすの人為的な除去試験を行い,その効果を検討した。併せて,花かすからの胴枯病菌の分離調査を行った。その結果,花かすを除去した区における発症果率は2010年および2011年の試験で低下した。一方,2012年の除去効果は判然としなかった。また,この年は花かす組織から胴枯病菌が分離される頻度は低かった。