2016 年 2016 巻 63 号 p. 98-101
茨城県のハスNelumbo nucifera栽培田の内部および周縁部に自生する11科14種の雑草と,ハス田排水路の野良生えハスを採集してレンコンネモグリセンチュウHirschmanniella diversaの寄生を調査したところ,5科7種の雑草および野良生えハスへの寄生が認められた。雑草では特にケイヌビエEchinochloa crus-galli var. echinataの8~9月の寄生数が多いことから,本種の重要な寄主であると考えられた。次いでミズアオイMonochoria korsakowii,タイヌビエE. phyllopogonnoへの寄生数が多かった。さらに,野良生えハスへの寄生数は最も多く,本種の個体群の増殖に有利に働くと考えられた。室内接種試験では,ケイヌビエおよびタイヌビエへの寄生・増殖が確認されたが,イネOryza sativaに対する寄生性は低かった。これらのことから,雑草および野良生えハスの防除やイネとの輪作は,耕種的防除法として重要な位置を占めると考えられた。