2017 年 2017 巻 64 号 p. 6-9
イネいもち病に農薬登録のある3種類のQoI剤(アゾキシストロビン,メトミノストロビン,オリサストロビン)の出荷量データを抽出し,所定濃度での使用を仮定して47都道府県ごとの使用面積率を計算した。2014年時点での耐性菌の発生県(1)と未発生県(31)の2群間で各剤の使用面積率(年平均値)をKruskal-Wallis検定すると,オリサストロビン(P <0.001) と全QoI 剤(P <0.01)で有意に高かった。さらに,3剤の年次ごとの累積使用面積率データを説明変数候補,AICを選択基準としたモデル選択を行った結果,2014年までの耐性菌の発生確率を目的変数にして,オリサストロビンの2012年までの累積使用面積率を説明変数とするロジスティック回帰モデルが選択された。以上、オリサストロビンの使用面積率の管理が耐性菌対策の要点であることが示唆された。