2018 年 2018 巻 65 号 p. 57-60
ナシ芽基部での発病を防ぐ目的での催芽期,発芽期の黒星病防除について,千葉県における散布暦,薬剤の登録内容や耐性菌対策等を勘案し,キャプタン水和剤の使用を前提とした薬剤散布について検討した。キャプタン水和剤の防除効果や展着剤加用の効果,薬害の有無を明らかにするため,2017および2018年の2カ年に自然感染下のナシ成木および黒星病菌分生子を塗布接種した鉢苗を用いて単用薬剤による防除効果とキャプタン水和剤に展着剤等を加用した防除効果について試験を実施し,防除効果を検証した。その結果,自然感染下の成木の試験でキャプタン水和剤はチウラム水和剤と同等の防除効果がみられた。また,キャプタン水和剤は数種の展着剤を加用することで,ジチアノン水和剤と同等あるいはそれに勝る効果が得られた。一方,マシン油乳剤を加用しても黒星病に対する防除効果は変わらなかった。なお、いずれの試験においても薬害は認められなかった。塗布接種した鉢苗を用いた腋花芽の発病抑制試験では罹病芽基部率が非常に高く,薬剤防除効果が判然としなかったが,キャプタン水和剤にまくぴかを混用した場合に防除効果が高い傾向が確認された。