土壌伝染性のイネ稲こうじ病に対して銅水和剤散布及び転炉スラグ肥料とシメコナゾール粒剤による防除体系処理の実証を2022〜2024年の3年間で実施した。出穂前30日間の降雨日数を基準とすると,2022年と2023年は多発生,2024年は中発生のリスクがあった。このような気象条件下で高知県本山町のA農家とB農家は毎年銅水和剤散布を,高知県土佐町のC農家とD農家は初年目の転炉スラグ肥料の土壌混和と毎年のシメコナゾール粒剤の体系処理を行った。薬剤散布日は「1 kmメッシュ農業気象データ版イネ稲こうじ病の薬剤散布適期連絡システム」を参考に幼穂の形成状況を確認して決定したが,実際の幼穂長から推定される予測日には5~10日間の誤差があった。銅水和剤処理区の発生量は遅れ穂の罹病により発生が多かった2024年のB農家以外では,対照区に比べて3.4~37.3%で,発病抑制効果が認められた。一方,転炉スラグ肥料とシメコナゾール粒剤の体系処理では,2022年はアルカリ効果により生育が旺盛となり,防除効果が判然としなかったが,2023~2024年の病粒数は,対照区の33.3~37.5%と安定した発病抑制効果が認められた。以上から,本システムを利用して,銅水和剤散布あるいは,初年度の施肥量を低減した転炉スラグ肥料とシメコナゾール粒剤の体系処理区により,安定した防除効果が得られることが実証試験により示された。