抄録
ナシ棚栽培におけるスピードスプレーヤ散布時の防除効果の安定とドリフト軽減のため, 散布時期と送風量が薬剤の付着と防除効果に及ぼす影響を検討した。生育初期と茎葉繁茂期 (6月中旬~7月上旬) に散布液の被覆面積率を同じ散布条件で比較したところ, 生育初期の被覆面積率が顕著に低く, 生育初期は薬剤が付着しにくい傾向が認められた。生育初期における送風量と薬剤付着の関係を検討したところ, 送風量700m3/分と450m3/分では被覆面積率に差はなく, 0m3/分では顕著に減少した。450m3/分以上は送風量を増やしても薬剤の付着が増加しなかったことから, 生育初期はドリフトを軽減するため450m3/分程度の送風量が望ましいと考えられた。一方, 茎葉が繁茂した6月中旬~7月上旬は, 送風量を700m3/分から450m3/分に減らすと被覆面積率が減少し, 黒斑病に対する防除効果も低下した。茎葉が繁茂した条件では防除効果を維持するために700m3/分程度の送風量が必要と考えられた。