抄録
ナシ黒星病の第一次伝染源として重要な子のう胞子の飛散は3月下旬から4月上旬に始まり, 5月中旬から6月上旬に終息し, この間の降雨日に起こった。子のう胞子累積飛散率の移動平均の推移はシグモイド曲線に近似し, その推移を Boltzmann 関数に当てはめ累積飛散曲線とした。曲線の係数dは, 3月上中旬の平均気温, 4月前半の降水量およびナシの開花始期等と相関がみられた。また, 曲線から求めた1%累積飛散日は, 3月上中旬の平均気温およびナシの開花始期等と相関がみられた。以上の関係に基づき飛散消長の推定を試みた。