抄録
水戸地方に発生するキリてんぐ巣病ファイトプラズマ (PWP) について, その媒介昆虫の探索を行った。その結果, クサギカメムシ (Halyomorpha halys), ヒメフタテンヨコバイ (Macrosteles striifrons), ヒシモンヨコバイ (Hishimonus sellatus), ヒシモンモドキ (Hishimonoides sellatiformis) によってキリへ伝搬されず, また, PWPを獲得吸汁した各虫の体内からPCR法によりPWPは検出されなかった。キリ樹に多数生息しているミドリヒメヨコバイ (Empoasca sp.) は, PWPをキリおよびニチニチソウへ伝搬しなかったが, キリ病葉上で2週間以上獲得吸汁させ, 獲得吸汁開始後4週間以上経過したミドリヒメヨコバイから, PCR法により119頭中10頭からPWPが検出された。この結果から, PWPがミドリヒメヨコバイの虫体内で増殖することが確認されたが, キリへの伝搬能については確認出来なかった。